人工関節手術後のリハビリでは、**自分の力で関節を動かす「自動運動」**が非常に重要です。特に膝関節の回復には、この自動運動が効果的で、早期の回復をサポートします。術後の痛みがあっても、自分の力で関節を動かすことで、回復を早めるとともに、生活動作がより楽にできるようになります。
自動運動の重要性
自動運動とは、他の人に手助けされることなく、自分の力で関節を動かす運動のことです。手術後のリハビリでは、まずは自分で動かすことから始めることが重要です。なぜなら、自動運動には以下のような利点があるからです。
- 筋肉を維持・強化する
手術後、関節を動かさないと周りの筋肉が弱くなり、動きが不自由になってしまいます。自分で関節を動かすことによって、筋肉が使われ、強化されるため、リハビリを進める上で重要です。筋肉がしっかり働くと、関節への負担が減り、動きが滑らかになります。 - 痛みをコントロールしやすい
他の人の助けを借りず、自分で動かすことで、痛みの度合いを自分でコントロールできます。動かす範囲を自分の感覚で調整できるので、無理なく可動域を広げていくことが可能です。痛みが強すぎる場合は、無理せずに一度休み、少しずつ動かす範囲を広げていくことが大切です。 - 関節の柔軟性を保つ
自動運動を続けることで、関節周囲の筋肉や靭帯が伸び、柔軟性が保たれます。これにより、術後のリハビリを進める中で、関節が固くなるのを防ぎます。柔軟性が高いと、日常生活の動作がしやすくなります。
膝関節の可動域:簡単な目標
膝関節の可動域については、術後に目指すべき目標として、**屈曲120°、伸展0°**が一般的なガイドラインです。これが達成されると、膝を曲げて座る、歩く、階段を上るなど、日常的な動作が格段に楽になります。リハビリの中で、膝を自分の力で動かし、少しずつ可動域を広げていきましょう。
自動運動の進め方
自動運動を行う際、次のようなステップで進めると効果的です。
- 少しずつ動かす
最初は痛みがあるかもしれませんが、痛みが「半分より小さい」と感じる範囲で動かしていきます。例えば、膝を少しずつ曲げて、できる範囲で膝を伸ばすといったことから始めます。 - 無理をしない
最初は少し痛みを感じるかもしれませんが、無理に動かすことは避けましょう。痛みが強いと感じたら、その範囲で一度止め、少しずつ動かせる範囲を広げていきます。あくまで自分のペースで、痛みを感じる前に止めることがポイントです。 - 継続的に行う
自動運動は1回で終わらせるのではなく、毎日のリハビリの中で継続的に行います。少しずつ可動域を広げていくことで、回復が確実に進みます。
まとめ
自動運動は、痛みの中でも自分の力で関節を動かすことができ、リハビリにおいて非常に重要な要素です。自分で動かすことにより、筋肉を維持し、関節の柔軟性を保つことができます。また、膝関節の目標可動域(屈曲120°、伸展0°)を意識しながら、自分のペースで少しずつ進めることが回復への近道です。
無理せず、少しずつ自分の体を動かすことで、日常生活がより楽に、快適に送れるようになります。理学療法士としては、患者さんがそのペースで着実に進めるようにサポートしています。自動運動を続けることで、最終的には目標に到達し、日常生活の質が大きく改善されるでしょう。
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